こんにちは!るん太郎です。
今回は福祉用具専門相談員の職業について記事にしてみました。
介護業界の中でも、営業職の要素が多い福祉用具専門相談員は、他業種の営業からでもとっつきやすいイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私も元々は全く畑違いの営業職から、「どうせなら営業経験を福祉の分野で活かしたい」との思いで転職したのが始まりでした。
それから約9年間福祉用具専門相談員として、仕事の楽しさは勿論、難しさや面倒臭さ等も感じながら働いてきました。
そういった経験から、少しでも皆さんの参考になるように、本音も交えながら福祉用具専門相談員の仕事についてお伝えできればと思います。
こんな方におすすめ
- 福祉用具専門相談員ってどんな仕事をするのか知りたい
- 仕事のやりがい?大変な事?
福祉用具専門相談員の仕事
資格について
福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売(予防も含む)を行う事業所において、居宅要介護者や要支援者が福祉用具を選定する際に、専門的知識に基づいて助言を行う仕事です。
福祉用具専門相談員として働く為には、指定されたカリキュラムを50時間受講し、1時間程度の終了評価(筆記試験)に合格すると資格を取得する事ができます。
資格取得にかかる費用や期間は受講先によって異なりますが、4万円〜5万円くらいが相場で、トータル7日〜8日程の期間で取得する事ができます。
また、福祉用具専門相談員の講習を受講しなくても、以下の資格を持たれている方であれば、福祉用具専門相談員として働く事ができます。
- 保健師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 義肢装具士
※2016年4月1日まではホームヘルパー2級・1級、介護職員基礎研修、初任者研修の資格取得者も福祉用具専門相談員として働く事ができていましたが、それ以降は2015年4月1日制度改正によって認められなくなりました。
ちなみに、私は過去に福祉用具専門相談員の講習のお手伝いをさせて頂いていた事もありましたが、結構な人気があったと記憶しています。
福祉用具専門相談員として働く方だけでなく、勉強の為に受講される方も多くおられました。
仕事内容
私が働いていた事業所は少人数であった為、ネット販売、営業、選定、納品、契約、修理、担当者会議、モニタリング、住宅改修(大がかり工事等は下請けの建築会社に依頼)、書類作成、申請業務、事務作業等を行っていました。
以下には簡単ですが、業務内容についてお伝えします。
営業
居宅介護支援事業所への新規営業を行う事もありますが、基本的には既存の居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんからの依頼に対応する事が多かったです。
月末には依頼を頂いている居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに、毎月の福祉用具のレンタル実績報告を兼ねて新商品等の紹介を行っていました。(販促チラシ等も作成していました)
選定
選定業務とは、依頼を受けたご利用者様に対して必要な福祉用具の選定を行います。
ご自宅に伺って行う事もあれば、病院や施設に伺い選定する事もあります。
また、多職種と一緒に選定する事もありますし、既に選定された用具を依頼される事もあります。
納品・契約
選定した福祉用具を納品し、ご本人様やご家族様に契約をして頂きます。
修理
レンタル商品であれば、メンテナンスされた物を持っていき、交換対応する事が多いのですが、販売商品等の修理の場合は、不具合箇所の確認や、修理料金の見積もり等を作成します。
簡単な機器であれば自分で修理する事もありますし、おおがかりな物になるとメーカーに依頼したりもします。
担当者会議
介護保険の更新や新たなサービスが追加になった際には、ご本人様や既存の介護保険のサービス事業者が集まって会議が開かれます。
ご自宅や、利用されておられる通所施設等で行われる事が多いですが、退院前であれば病院にて行われる事もあります。
モニタリング
使用中の福祉用具が身体状態に適合しているのか等、定期的に確認しなければいけません。
モニタリングし、福祉用具に変更の必要があれば、ケアマネジャーさんに報告し対応します。
住宅改修
介護保険では福祉用具レンタルや販売だけでなく、20万円の住宅改修費を枠に、改修にかかった金額の1割〜3割負担で手すりの取り付けや段差の解消等の工事を行う事ができます。
また、市区町村によって介護保険を補完する住宅改修の制度もある為、そういった制度も活用しながらご利用者様の自立を支援していきます。
福祉用具の導入に伴って依頼を受ける事もありますが、手すり一本だけでも取り付け依頼があります。
大がかりになると、ユニットバスやキッチン、トイレの取り換え工事の依頼もあります。
書類作成
契約書や計画書、モニタリング報告書、住宅改修に必要な図面や見積もり、理由書、特定福祉用具販売の為の書類の作成等、結構な数の書類があります。
申請業務
住宅改修や特定福祉用具販売を行う為には役所への申請が必要になります。
ある程度まとめて提出する事もありますが、住宅改修においては説明が必要になる事もあるので、難しい工事に関しては担当者が直接提出するようにしていました。
また、市区町村によっては、役所の職員と共に申請者宅に訪問し、住宅改修の必要性の有無を判断する事もありました。
事務作業
基本的には事務員さんが行っている事業所が多いと思いますが、私達は少人数でしたので営業の傍らで行っておりました。
事務作業といっても毎月の請求業務がメインになります。
介護保険制度を利用した福祉用具レンタルの場合、9割〜7割は国保連へ請求し、1割〜3割の自己負担分はご利用者様へ請求を行います。
また、私が働いていた事業所は、レンタル商品を卸業者より仕入れていたので、請求書の確認等も行っていました。
総合的にみて
私はたまたま良い環境に恵まれていただけかもしれませんが、とてもやりがいある好きな仕事でした。
仕事の依頼は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんから頂く事が多く、訪問介護サービスやデイサービス等、多職種と連携しながら対象者さんの在宅生活を支援します。
その為、ガツガツの営業職のように、不信感から信頼を勝ち取るといったような事はしません。
責任感を持って誠実に対応できれば、不信感を持たれる事も少ない仕事なので、訪問営業のように無碍にされたり人間不信になる事も少ないと思います。
どちらかというと、ご本人やご家族に信頼される事が多いので、やりがいは大きいと思います。
勿論、嫌な事も沢山ありましたが、感謝される事も多かったです。
今でも、思い出すと涙が出そうになるエピソードは沢山あります。
私自身は現在、福祉用具専門相談員の仕事からは離れていますが、機会があればまた働いてみたいと思っています。
福祉用具専門相談員に向いている人
事業所によって営業方針や仕事の運び方は違ってくると思いますが、協調性や、思いやりと責任感があれば、結果は残せると思います。
後は、車で移動する事が多いので普通自動車免許は必須です。
福祉用具専門相談員を目指す前に知っておきたい事
・協調性に関して
・コミュニケーション力について
・外回りや、重い荷物運びもある
・時に汚染した商品を運ぶ事もある
・追われる仕事になる事も多い
・基本的にノルマがある
協調性に関して
福祉用具専門相談員として働く上で、協調性はとても大切であると私は思っています。
ご利用者さんやご家族の意向は勿論、関わる多職種の方も多く、様々な視点からより良い支援方法を考えていかなければなりません。
その為、自分だけの意見や考えで物事を進めるよりも、多職種との連携が必要になります。
また、多職種やご本人、ご家族との調整役でもあるケアマネジャーさんへの報告・連絡・相談はかかせません。
私も福祉用具専門相談員として働いている時は、案件の進捗状況やご利用者さんのちょっとした変化等も報告していました。
コミュニケーション力について
誰と話すのも煩わしさを感じるのであれば、もしかすると福祉用具専門相談員に向かないかもしれません。
かく言う私も人と話すのは苦手ですが、それはあくまで初対面や目上の人が主です。
友達や、顔見知りになると話が楽しいと感じるのであれば問題ないように思っています。
特に福祉用具専門相談員はルート営業が多く、ケアマネジャーさんがおられる居宅介護支援事業所に訪問する事が多いです。
毎回完全新規の訪問販売とは違うので、始めは言葉に詰まるくらいでも、責任感を持って対応していれば少しずつ信頼してもらえると思います。
また、話す内容においても、ご利用者さんについての情報共有や新商品の紹介などが主になってくるので、話題に困るといった事は少ないと思います。
外回りや、重い荷物運びもある
どうしても、ご利用者さんのご自宅に訪問する事が多いので、外出は避けられません。
また、業務分担してある事業所においても、歩行器や手すり等は営業が運ぶ事もあると思います。
雨の日なんかは億劫になりますね。
時に汚染した商品を運ぶ事もある
訪問先によっては、正直衛生的とは言えない所も沢山あります。
貸し出していた福祉用具に便や尿が付着している事もありますし、そういった用具を運ぶ事も日常茶飯事でした。
私は結果的に慣れましたが、最初は抵抗がありました。
ただ、事業所によっては、営業、配送、モニタリング業務が完全に分担されている所もあります。
追われる仕事になる事も多い
営業も行いますが、基本的には先方から依頼の連絡を受ける事が多いです。
ケアマネジャーさんを中心にご利用者さんやご家族、一緒に在宅サービスに携わっている訪問介護事業所や訪問看護事業所等、連絡の内容は多岐に渡ります。
依頼も分散して頂ければありがたいのですが、忙しい時は重なる事が多いです。(汗)
連絡も多くなり、思うように仕事が捗らなくなる事もあります。(忙しい事は良い事なんですが)
また、場合によっては休みの日や夜中に電話連絡があります。
事業所の方針にもよりますが、緊急を要する場合は対応しなければならないので結構ストレスに感じる事もあると思います。
私も、夜に介護用ベッドが動かなくなったとご利用者さんから連絡があり伺った事もありますし、休日に急な福祉用具レンタル依頼も多く対応してきました。
勿論、代休といった形で調整はしていましたが、会社によっても対応は様々だと思うので、もし福祉用具専門相談員として就職を希望されておられるのであれば、しっかりとそういった対応等も確認されておいた方が良いかもしれません。
基本的にノルマがある
個人にノルマを設定している会社が多いと思います。
私がいた会社は、ノルマは勿論ありましたがインセンティブ制度は無く、皆で協力し合って全体の目標を達成していく方針でした。
その為、忙しい社員のフォローに入ったり、結果的にはご利用者さんにとって不利益にならないように気を付けていました。
しかしながら、そういった方針でも自分だけ売り上げが上がっていないと、責任感を感じる事は多々ありました。
また、周りの同業者の中には、売り上げが上がらなくて転勤させられる等の話も聞いた事があります。
やりがい
福祉用具専門相談員の仕事は営業職です。
特に福祉用具貸与事業所に関しては、他の介護保険サービスのように売り上げに頭打ちが無い為、がんばり次第で上限なしに利益を上げる事ができます。
勿論、一人が動ける時間は限られていますし、レンタル価格設定においてもぼったくり価格が発生しにくいシステムがとられていますので、限界はありますが、それでも工夫次第で沢山の売り上げを上げる事ができます。
会社によっては高いノルマを求められる事もあると思いますが、その分インセンティブのように、基本給とは別に報酬を頂ける所もあります。プレッシャーもありますが、自分の成果が報酬として形に現れるのでやりがいは感じれると思います。
残念ながら私の働いていた事業所は、インセンティブ制度はありませんでしたが、それでも私達は皆で協力しながら売り上げを作っていたので、目標達成した月はとても嬉しかったですよ。
また、専門職ですので自己研鑽は必要になりますが、自身の身に着けた知識や関わり方によってご利用者さんの自立支援に繋がると、とても嬉しいです。
私の性格的に良かった事
結構自由
忙しく動き回る日もありますが、車の中にいる事も多い仕事なので、パーソナルスペースで自分の時間を持つ事ができるのも魅力でしたし、社内の空気から解放されて、外の空気をしっかりと吸えるのもリフレッシュに繋がっていました。
特に仕事が落ち着いている時は、自分のペースで仕事を進める事ができるのも私には合っていたように思います。
また、当時は空いた時間にコンビニに寄っては喫煙していました(2年目からはタバコを辞めました)
飽き難いかも
先にもお伝えしましたが私が在籍していた貸与事業所は小規模であった為、、単調な仕事に比べると、飽きにくいように感じていました。
勿論、最初は覚える事も多いので大変ですが、単調な作業を好まない人にとっては嬉しい事かもしれません。
大変だったこと
高齢者の中には気難しい方や、こだわりの強い方も沢山おられます。
説明に理解して頂けない事や、約束を勘違いされる事も日常茶飯事です。
日常生活に支障がなければ、良いかもしれませんが、場合によっては導入した福祉用具が原因で事故に繋がるケースも考えられます。
その為、こちらで安全対策をしっかりと考慮した上でサービスを提供する必要があります。
また、レンタルサービスを提供するにあたり、中々ご利用者さんに上手く適合しない事もある為、訪問回数も増えやすいです。
その都度書類も必要になるので事務作業も多くなります。
そんなこんなで沢山動いたにも関わらず、骨折り損のくたびれ儲けみたいな事も結構多いです。
ちなみに
事例1
重たい介護用ベットを導入して、違うベッドに交換希望があり、2回ベットを入れ替えした後に合わないのでキャンセルしたいと言われた事もありました。
私がいた事業所では、基本的に介護用ベットは適合判断の為のお試し期間を設けていないのですが、中には納得されない方もおられます。
特に福祉用具導入のきっかけがケアマネジャーさんから必要だからと進められていた事もあり、ご利用者さんからすると「だから最初からいらんと言っていたのに」なんて結末になる事も・・・
何とかしてよと言われるケアマネジャーさんに対して、卸業者さんにはこれ以上無理を言えない状況に陥り板挟みの事もありました。
事例2
利用料を回収できない方も中にはいらっしゃいます。
介護保険でレンタルでは、収入等によってレンタル金額の1割〜3割を自己負担で支払って頂くのですが、中々応じて下さらない方もおられます。
居留守も使われるので、福祉用具の引き上げも行う事ができず、時間と労力を相当使った思いでがあります。
事例3
住宅改修や販売において、通常業務以外の事を頼まれる事も多いです。
しかも、無償で動く事もしばしば。
ボランティア精神でがんばっても、内容にクレームをつけられる事もありました。
事例4
ケアマネジャーさんによって差はありますが、やたらと納品を急がれる方もおられました。
特に緊急性が無いにもかかわらず、就業直前に「今から〇〇の商品持ってきて」等お願いされる事も多かったです。
あまりに無理難題を言われる居宅介護支援事業所に関しては、断る方針の貸与事業所さんもいましたが。
将来性
2025年に団塊の世代が75歳を迎えるのをピークに、高齢者の人数は減っていくと言われています。
財源に関しても今後更に厳しくなると思われます。
昔は1割負担だった利用者負担額も、現在では1割〜3割と収入に応じて負担額が変わっています。
今後も、利用者負担の割合や対象者の基準も厳しくなる事も予測される為、今以上にシビアになると思います。
事業所としても利益は減っていく方向にあると思うので、面白みを感じる業者は減り、ある程度淘汰されていくのではないかと思います。
とはいえ当分の間高齢社会には続く為、需要が急になくなるなんて事はないと思います。
今後も政府としては、住み慣れた地域において安心して生活できる環境づくりにおいて、在宅医療・介護等を課題としており、真面目にコツコツと頑張れば、それなりの成果も出し続けていけるのではないでしょうか。
最後に
私は職場の働きやすさは主に人間関係や会社の方針に左右されるのではないかと考えています。
たとえ好きな仕事でも、環境が良くなければ楽しくないかもしれません。
逆に好きな仕事ではなくても、環境が良いと好きな仕事になるかもしれません。
できるだけ、好きな仕事で良い環境を見つける事ができると良いですよね。
ちなみに私は転職の際、目ぼしをつけた会社において、募集要項に記載されている退社時間と、実際の退社時間を比較する為に何度か下見に行ったりもしていました。
また、噂やインターネットでの口コミも大切な情報です。
全てを鵜呑みにしてはいけませんが、情報の中にヒントは沢山あります。
今回ご紹介した福祉用具専門相談員の仕事だけでなく、転職の際には色々情報収集を行う事も大切だと思います。
長くなりましたが、以上でお伝えさせて頂く事は終わりになります。
あくまで私の主観でお伝えしている事も多いですので、参考程度にして下れば幸いです。
最後までご覧になって頂きありがとうございました。