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車いすクッションはどれが良い?適切なクッション選び方とおすすめ製品について【褥瘡・床ずれ予防・シーティング・座位保持・メリット・デメリット・レビュー】

今回は、私が今ままでに在宅介護や施設介護での現場に提供してきた車いすクッションについてお伝えしたいと思います。

また、そういった高品質な製品の中には介護現場だけでなく、日常的に使用できる製品も沢山ありますので、そういった視点も含めてお伝えできればと思います。

福祉用具の車いすクッションの役割と種類

長時間の座位保持は褥瘡リスク大

仕事や日常生活において同じ座位姿勢を長時間保つ事は大変です。

身体をしっかりと動かせる方は、臀部を無意識に動かしたりする除圧動作を行う事で姿勢を保っていますが、自ら体を動かす事が難しい方にとっての座位保持は、不快感だけでなく痛みも伴い本当に苦痛だと思います。

また、場合によっては痛みや不快感だけでは収まらず、更なる悪影響をもたらす事も少なくありません。

私は仕事柄高齢者と関わる事が多いのですが、長時間の座位による圧迫等により、褥瘡に繋がるケースを見る事があります。

その中でも仙骨付近の骨突出部は、座位だけでなく臥位(仰向け)姿勢でも圧がかかりやすく、褥瘡になりやすい場所の一つです。

褥瘡はできるのが早い

褥瘡はできるのは早いですが、治りが遅いのが厄介なところです。

一度褥瘡が発生すると医療的なケアや定期的な寝返り介助等のケアを行っていく必要があります。

どうしても致し方ない事もありますが、やはり褥瘡を発生させない事がとても大事になってきます。

褥瘡を予防する為の福祉用具

褥瘡を予防するにあたり大切になるのが福祉用具の存在です。

介護保険で貸与される項目においては、床ずれ防止用具や体位変換器、車いす付属品の中の除圧クッション等の用具が、主にその役割を担っています。

特に床ずれ防止用具はその名の通り、床ずれ(褥瘡)を予防する観点からその位置づけにあります。

人によっては「褥瘡になり始めたらすぐにエアマットにしましょう」との声を耳にする事もありますが、私個人の意見としては、予防目的なのでもう少し早い段階での導入が好ましいと思っています。

発赤や傷等があれば勿論ですが、栄養状態の低下、体重減少で骨突出が多い、寝返りができない状態であれば検討した方が良いと思っています。

しかしながら、その判断はとても難しいところでもあります。

寝返りができる状態で厚めの動きにくいエアマットレスを導入すると、その方の残存能力を奪ってしまう可能性や、場合によっては介助者の負担が増してしまう事もあるからです。

最近では、エアマットの性能も向上し、動きやすいように素早くマットレスが硬くなる製品やマットのサイドは硬くずり落ちしにくい構造になっている等、日進月歩で用具も進化していますが、老々介護も当たり前の昨今においては、ご本人様は勿論、福祉用具を管理する介護者の介護力にも配慮して慎重に用具導入を検討する必要があると思います。

車いすクッションの重要性

話は少しそれましたが、今回お伝えする車いすクッションにおいても、床ずれ防止用具のマットレスと似たような事が言えます。

座位においては仰臥位(仰向け)よりも臀部への圧力がかかる為、褥瘡への懸念が高まります。その際、座位時間が長い場合や適切な除圧ができていないと、人によっては臀部の痛みを避ける為に、自ら臀部を前にズラして仙骨座りになるケースもあります。

しかしながら、除圧だけを求めてただ分厚くてフアフアしてるだけの車いすクッションを選んでしまうと、除圧はできるかもしれませんが座位は不安定となります。

更に言えば、不安定な座位姿勢だと骨盤が傾き、その影響から脊柱のゆがみを生じさせる等、エアマットと同じで残存能力を低下させてしまう可能性もあります。

その為、除圧する事だけに捉われず、座位の安定性(骨盤を中心に)が十分に確保できるよう十分に考慮しながら車いすクッションを選ぶ必要があると言えます。

注意点

車いす座位では、肘や大腿部、足底面が適切に支えられる事で身体が安定しやすくなります。

大腿部(太もも)が座面から浮いていたり、ひじ掛けの高さと肘の高さが合っていない、足底(足の裏)がしっかりとフットサポート(足台)もしくは床に着いていないと、身体を支持する面が減る為、体制は崩れやすくなります。

その中でも、クッション導入時に注意したいのはひじ掛けの高さです。クッションの厚みにより座面高と肘かけとの高さが変わってくる為です。

肘かけの高さを変更できる車いすであればよいですが、そうでなければ薄くて除圧効果の高いクッションに変更するか、車いす自体を変更しなければならない事もあります。

また、車いすのスリングシートにおいては、たわみが発生しやすく骨盤が安定しにくい傾向にあります。

骨盤を適切に支えるには、ある程度車いす等の座面がしっかりしている事が重要ですので、クッションを敷く前の座面においても確認が大切です。

ちなみに私の場合は座面のスリングを固定しなおしたり、スリングがマジックテープ仕様であれば止めなおす、段ボールを重ねて逆ピラミッドのようにしながら座面にはめ込む等の対応をしています。

もちろん、安全面を考慮する必要があるので、できるだけ専門の方に相談する事をお勧めします。

車いすクッションの種類

車いすクッションに使わている素材は様々です。以下においてはその一部を紹介させて頂きます。

ウレタン素材

クッションの素材としては家庭用の一般的な商品から、福祉用具の除圧クッションまで幅広く使用されている素材です。

その他の素材に比べて耐久性は低い傾向にありますが、値段がお手頃なのも多く重量も比較的軽量です。硬さも高反発の物から低反発の物まで様々な種類があります。

また、ウレタン以外の素材と組み合わせたハイブリット仕様もよく目にします。

私が個人的に良いと感じていたウレタンクッションは、底面はしっかり硬めの素材でありながら中層は正反発、直接身体に触れるところは、なるべく多くの面を捉えたいので低反発といった感じでしょうか。わかりにくくてすみません・・・

天然ゴム

天然ゴムは抜群の耐久性を誇ります。薄くてもしっかりと体を支え、底付きしにくい優秀な素材です。ただ、ゴムアレルギーの方は要注意です。

ジェルタイプ

天然ゴム同様に薄くても体圧分散効果が高い素材です。中身が流動するタイプもあれば、特定の形に整形してあるタイプまで様々な商品があります。

また、商品にもよりますが他の素材と比べて重量があります。

ブレスエアータイプ

インスタントラーメンを袋から出した状態のようなクッションです。ラーメンよりも隙間が多いので通気性が良く耐久性も高い上軽量です。また、丸洗いもできる製品も多いので、衛生面も保ちやすいです。

エアータイプ

除圧効果がとても高いです。代表的な商品で言えばロホクッションが有名です。その他にも自動バルブ適切な圧に調整してくれる製品や、エアマットのように電源を使い、自働で空気の流動を行うタイプまであります。

穴が空くと製品としての効果は無くなります。また、製品によっては、エアーの量を管理する必要があります。

車いすカバーについて

防水タイプ

失禁や水分等がこぼれたりしても。本体にまで影響がないので衛生的で管理しやすいです。しかしながら、蒸れやすい点がデメリットと言えます。

通気タイプ

蒸れに対応しますが水分を通しやすいので本体が汚れやすいです。その為、汚れてもすぐに水洗いできる管理しやすい素材+形状のタイプに向いていると思います。

例えばジェルタイプにおいては蒸れやすいですが、本体が水洗いしやすい物も多いので通気タイプとの相性が良いかもしれません。

ブレスエアーにおいては、水分をすべて通してしまうかもしれませんが、更に相性が良いと言えます。

一方、ウレタン素材では、一度水分を含んでしまうと、厚みのある物は乾くまでに時間がかかるので、使用される方の身体状況によっては防水タイプが良いかもしれません。

福祉用具としても普段使いとしても優秀な車いすクッション

福祉用具として高評価だった商品でありながら、老若男女問わず普段の生活場面においても使える商品を素材別に紹介します。

※紹介している商品はネットショッピングでも購入できますが、在宅介護において介護認定が要介護2以上(原則です)であれば、介護保険制度でレンタルできる製品もありますので、ケアマネジャーさんや役所の窓口で相談される事をおすすめします。

また、下記に紹介している製品は、福祉用具としてだけではなく、私自身が普段の生活場面を想定し、使用してみた経験も踏まえてお伝えしています。

医療的な観点から車いすクッションを必要とされておられる方は、対象者の状態をよく把握されておられる医療機関や専門家の方にご相談される事をお勧めします。

【ラテックスタイプ】ボディドクター ザ・シート

ヨーロッパで歴史のあるメーカーです。2.5㎝の薄さでありながら体圧分散能力も高く、天然ゴムを使用しているので抜群の耐久性です。

しかもお値段もお手頃です。ひじ掛けの高さを変える事ができない車いすにも導入しやすいと思いますし、食卓の椅子等、様々な場面においての活躍が期待できます。

勿論、福祉用具としてだけでなく老若男女問わず職場から家庭まで幅広く使える商品だと思います。

私の場合は色々な椅子や場所で試しましたが、ある程度硬さのある座面に敷いて使うと、腰痛も軽減されました。

しかし、座面が柔らかすぎる椅子で使用すると、幾分かは座り心地が改善されるものの、骨盤が安定しにくい為、私の場合は腰痛の改善には繋がりにくかったのが正直なところです。

結局のところ、”注意点”においてもお伝えしましたが、クッションを敷く前の座面の状態によっても座り心地が左右される可能性が高いと私は考えています。

どの製品においても言える事かもしれませんが、なるべく安定した座面の上で使用すると、よりクッションの効果を期待できると思います。

とはいえかなり優秀な製品です。車のシートやパイプ椅子等に載せて使用する等、活躍の場はとても広いと思います。

ちなみにクッションの中身である天然ゴムは、ちぎって噛みつきたくなるような素材です。

人気のボディードクター座クッションです。↓


持ち運びに便利なボディードクター商品です。↓


 

【ウレタンタイプ】シーポス

実は100%ウレタン素材ではありません。一部ジェルが使われていますがとても良い製品なのでウレタン素材という事で紹介させて頂きました。

この製品は私が福祉に携わるようになった時にはすでに実力ある製品として出回っていました。

しかも新たな商品が次々と発売される今でも根強く支持されている製品です。車いすで足漕ぎした際などに生じやすい仙骨付近のズレ力を、中心にある溝が軽減してくれます。

車いす座位を保つだけでも十分な役割を果たしてくれる製品ですが、車いすで自走される方には更に適していると私は感じています。

また、クッション前部の高さが盛り上がっている構造なのでずり落ち防止の役目も果たしますが、取り外す事もできるので普段使いにも良いと思います。


【ジェルタイプ】アウルクッション

アウルクッションも福祉用具として昔から根強い人気を誇っています。カバーを外した中身がアウル(フクロウ)の形状になっているのが特徴です。

その形は理にかなっており、フクロウの目の部分が圧のかかりやすい坐骨を支え、鼻の凹み部分は尾骨や仙骨の骨突出部を保護します。

素材はジェルなので薄くても除圧効果が高く、厚さや形状も状態に合わせて数種類の中から選択可能です。

褥瘡のリスクも少なく標準型の車いすを使用されるなら、スタンダードタイプ(厚さ3.7㎝)が使いやすいと思います。

私としては、厚めのタイプを選ぶのであれば、他の製品も選択肢に入ると思っていますが、薄いタイプで除圧効果が望める製品の数は多くないと考えています。

その為、スタンダードタイプは福祉用具としても重宝しましたし、それ以外でもラテックス製品同様に汎用性が高い製品の一つだと思っています。

私は食卓の椅子でアウルクッションを敷いてみた事がありますが、椅子座面が木であった為、安定性がありとても身体が楽でした。

福祉用具とは少し異なる、最近人気のテレワーク等で大活躍のアウルクッションです。↓

【ブレスエアータイプ】

とにかく他の素材に比べて蒸れにくいのが特徴です。蒸れによって皮膚が湿軟状態(ふやけ)になると、皮膚損傷にも繋がりやすいので注意が必要です。

しかしながらクッションは蒸れやすい素材が多く、防水素材のカバーになると更に蒸れやすくなります。

確かに失禁が起こりやすい方には防水カバーを使用する事でクッションの衛生を保つ事はできますが、発汗しやすい体質や環境によっては何かしらの対策が必要な事もあります。

そういった点においても、ブレスエアークッションやカバー自体は丸洗いできる物がほとんどなので、洗い替えにて交換しながら使用する事も一つの方法だと思います(椅子自体が汚れないように吸水・防水シートを用意する必要はありますが)。

ブレスエアー商品は他のメーカーも販売しているので、この商品に関わらず安い物で試してみるのも良いかもしれません。

私は夏場に、社用車(ハイゼット)を少し運転しただけでお尻も背中も汗でベタベタでしたが、ブレスエアーを使用していた時は快適でした。

ただあまり厚みがある物だと運転しにくい可能性もあるので、車で使用するなら薄いタイプのブレスエアーマットが合うと思います。

以下のAmazon、楽天、Yahooショッピングにおいて紹介している商品は、それぞれ違うタイプ(厚さ等)のブレスエアークッションになります。↓


ちなみに、クッションの話とは少し異なりますが、私は夏場の車の中で以下のような製品を使用した事もあります。

汗かきの私は、ご利用者様宅へ訪問する際に、シャツの背中が汗で濡れているのが嫌で購入し、とても助けられました。

最終的に私が購入した時の商品は寿命を迎えたので、最終的にはブレスエアークッションを背中にも固定して使用してましたが・・・。

以下にはAmazon、楽天、Yahooショッピングでそれぞれ人気のあるカークールシートを掲載してみました。↓


【エアータイプ】リフレックス

エアータイプには実績のあるロホクッションを始め様々な商品があります。特にロホシリーズは仕様も多く対象者の幅も広いですし、何と言ってもその除圧効果はトップクラスです。

しかしながら、ロホクッションはセッティングにおいて適切なエアー管理が必要になります。その為、毎回ではないにしてもクッションを管理できる必要があります。

私が以前にみてきた現場の中には、施設での忙しさのあまり、管理不足で全く空気がない状態で使用されていたケースや、在宅でレンタルされているご家族においては、ご本人様が空気を抜いてしまった際に、介助者もご高齢でどう対処してよいのか分らず困っていたケースもありました。

その点、リフレックスにおいてはロホクッションの実力には劣るかもしれませんが、エアータイプでありながら管理しやすい製品です。

その特徴は何と言っても自動バルブであり、座ると対象者の体重で適切なエアー状態に保ってくれるという優れものです。

また、中身が汚れても外面を洗う事ができるので衛生面も保ちやすいです。ただ、デメリットとしては値段が高い点と、痩せておられながらも、骨格がしっかりとして体重がある方においては、底付きしやすいようでしたので注意が必要です。

とはいえかなりの実力を見せてくれた製品であると言えます。施設に入所されている方や、在宅において介護保険レンタルで沢山の方に使用して頂きましたが、とっても評価は高かったです。

こちらの商品はどちらかというと普段使いというよりも、車いすに適した製品になりますが、とても良い製品でしたのでお伝えさせて頂きました。

購入する際は38×38㎝と40×40㎝の大きさがあるのでご注意下さい。↓


最後に

今回紹介した製品以外にも除圧効果の期待できるクッションは沢山ありますが、裏を返せば、沢山あるクッションの中から対象者にあったクッションを見つけるのも大変です。

お伝えした感想は私自身の個人的な価値観も含まれますので、あくまで参考程度にして頂ければと思っていますが、少しでもクッション選びの一助になれば幸いです。

 

  • この記事を書いた人

るん太郎

購入したり使用してみた商品のレビューを行っています。特にミニボート釣りに関する商品を中心に感想等を掲載しています。また、その他にも私と同じようなミスをされないようにとの思いで失敗談も掲載していますので、良かったら読んでみて下さい。

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