今回は私が去年購入して大活躍したインフレータブルボート(ゴムボート)を紹介します。
これからインフレータブルボートで釣りがしたいと思う方の参考になれば幸いです。
入門艇にもってこい!コスパの良いインフレータブルボート
私は、HillStoneインフレータブルボート(以下「HillStone」と称します)を2021年の5月に購入しました。そこから11月初旬まで週に1回〜2回出航しましたが、製品的に大きな問題もなく活躍してくれました。
値段も他製品に比べると安価なので、エンジンや他の道具にお金を回す事ができたり、変に気を使い過ぎる事なく釣りに専念できました。
勿論メーカー製品が欲しい気持ちもありましたが、10万円以上はあたりまえですし、初心者なので慣れない扱い方により、すぐに破損させてしまうような予感もしたので最終的にHillStoneを選びました。
船舶検査・免許不要のミニボートとは(2馬力ボート)
船舶検査や船舶免許が不要となる基準は、ボートの長さが3m未満であり、船外機の出力が1.5kw未満となります。
海上保安庁のホームページにミニボートについて記載されています
HillStoneも全長が約290㎝ですので、1.5kw未満の2馬力船外機と組み合わせて使用すれば船舶検査や船舶免許は不要です。
インフレータブルボート(ゴムボート)について
インフレータブルボートとは空気を注入して使用するミニボートの事です。よくゴムボートとも呼ばれていますが、その素材は大きく2種類あります。
CSM(ハイパロン)
日本のメーカーでは主にアキレスが取り扱っている素材です。インフレータブルボートの素材としては最高と言われています。
アキレス製品の中で、CSM素材のインフレータブルボートは保証期間が5年ある事からも、その素材の優秀度が分かります。
耐久性、対候性に優れ、温度の影響を受けにくいので冬でも硬くならず、修理がしやすいのが特徴です。
ただし、他の素材に比べ値段が高いです。私は実際に購入した経験はないですが、次回もインフレータブルボートに買い替えるなら、長期の使用を考慮してCSMのボートにしようと思います。
PVC(塩化ビニル)
ゴムボート素材のほとんどがこのPVCと言ってもよいのではないかと思うほど主流な素材です。
有名なジョイクラフトやアキレスを始め様々なメーカーで使用されています。
CSMと比べ耐久性、対候性は劣りますが、それでも5年〜10年は使用できます(使用・保存環境にもよります)。
また、コスト面においてもCSMに比べて優れていますので、個人的な意見としては、慣れるまでの入門艇は安価なPVC素材のミニボートを使い倒し、その後はCSM素材のインフレータブルボートもしくはFRPボート等を検討しても良いのではないかと思っています。
ただ、PVCといっても何重かに重なりあった多層構造の物もあれば、浮き輪の様な薄い素材の物もあります。
ミニボートにおいても薄い素材の物も存在するので、使用用途にもよりますが、釣りで使用されるのであれば、なるべく丈夫な物を選んだ方が良いと思います。
参考までに、丈夫なボートの見分け方の一つとして、私は本体重量も見るようにしていました。生地が厚い製品程本体重量が重くなる傾向にある為です。
HillStoneもPVC素材になりますが、多層延伸フィルムでPVCとポリアミドが多層に重なった構造をしていますのでとても丈夫です。
とはいえ、鋭利な物が接触すれば穴は空きます。ただ、余程の事がなければ本物のゴムみたいに小さな穴が発端となって大きく裂ける事は少ないと思います。
私もたまたま釣れたエイのヒレにより、一回で2箇所の穴を空けられた経験がありますが、大きく裂ける事はありませんでした。ちなみにその事件は使い始めて3回目の事でした・・・
インフレータブルボートの安全性
丈夫な生地を使用しているHillStoneですが、それだけでインフレータブルボートへの不安が払拭できるわけではないと思います。「結局穴が空いたらどう対処する?」「落水したら?」「船外機が壊れたら?」等、他にも不安要素は沢山あると思います。
以下においては、HillStoneの安全構造や装備、私なりに気を付けている事をお伝えします。
HillStoneの安全性
4箇所の空気室
空気が入る場所が4か所に分れています。前部と左右、そして床(エアーフロア)です。これにより、どこかに穴が空いても完全沈没は避ける事ができます。
防舷材
接舷時や何か障害物に接触しても生地が破損しにくいように、本体チューブを保護する為の防舷材がボートの全周に施されています。
セルフベーラー
安価なボートですがセルフベーラーもついていますので、ボートに溜まった海水を走行中に抜く事ができます。私は2馬力のエンジンで走行しながら試してみましたが、しっかりと海水が抜けていました。
安全ロープ
乗船時や落水時等、ボートに摑まる為に便利なロープです。ただ、私はそれ以外にもボートの偽装に使用しています。たとえば、クーラーBOXの固定に使用したり、サイドに物入をぶら下げる為の紐としても、とても重宝しています。
オール
HillStoneを購入すると付属で専用のオールがついています。船外機を使用する場合は、離岸時や方向転換等でしか使用しないと思いますが、船外機の故障時にはオールが無いと困ります。私も一度、エレキモーターの充電が無くなり、オールに助けられた事があります。
安全対策
私は定期的に国土交通省海事局が配布している『ミニボートに乗る前に知っておきたい安全知識と基準』を確認するようにしています。
事前に必要な安全対策用品もありますので準備を怠らないようにする事が事故の予防に繋がると思っています。
上記のパンフレットの内容はミニボート全般の基本知識として必要です。
インフレータブルボートの場合はチューブに穴が空いた際に応急的に使用できる水廻り用のパワーテープやゴリラテープを始め、パンドー156(スリーボンド)等の塩化ビニル用の接着剤と補修用の生地、そしてエアーポンプ等を積んでおかれる事をおすすめします(勿論これだけで絶対安全とはいえません)。
船外機を使用している場合も同様です。ボートに載せる荷物は必要最低限に留めた方が良いですが、私の場合は念のため工具類や交換部品も持って出るようにしています。
携帯の防水対策においても、私の場合は携帯とライフジャケットをワイヤーリール等で繋いで体から離れないようにしたり、落水時に体がボートから離れないように、体とボート間も紐で繋ぐようにしています。
※2馬力ボートではライフジャケットにおいて桜マークがついてなくてもOKです。選べる種類も増えますが、安全性と使いやすさ、見た目の良さを考えるとタクティカルゲームベストもおすすめです。
また、落水時にボートに乗り込む為の足かけロープがあると、水分を含んだ思い体を船内に戻しやすくなると考え、危険がないよに考慮した上で取り付けています。
持ち運びについて
本体寸法・付属品
ボートサイズ(完成時) | 全長約290㎝×横幅140㎝ |
エアーフロア(底板) | 全長約188㎝×横幅72㎝ |
総重量 | 25㎏ |
付属品
※フットポンプ、オール、キャリーバック、椅子板、トーイングロープ、補修生地
私としては椅子板が付属で2枚用意されているのも購入の決め手になりました。以外にも一枚しか付属していないボートも多いです。
※付属品の使用に変更があるかもしれませんので、購入を検討されている方は事前に確認をお願いします。
準備時間
私の場合ですが、本体(エアーフロアも含む)のエアー注入完了までの時間は、フットポンプを使用して約30分。
簡易的な送風機+最終フットポンプの使用で約20分。現在は高圧ポンプを使用しているので10分もかかっていないと思います。
ちなみに私が使用しているBMO高圧ポンプも以下に載せてます。
そこから、座板やオール、エンジン等様々な装備を用意していく時間は20分から30分程度です。ですので最初の頃はトータルで約1時間、現在では約30分というところでしょうか。
車への積み込み
私の車は軽自動車(ダイハツのムーブ)です。たまに周りの方から、「よく全部(ボート、エンジン、付属品等)載りますね」と言われる事がありますが、載るんです!
クーラーBOXやタックルBOX、エンジンもあるので後部はほぼ潰れますが、助手席は空いてますので知人と共に出航する事も多いです。
ちなみに余談ですが、今後の展望としてインフレータブルボートを載せる為のルーフboxの使用も検討しています。
ボートの使用後に、折り目がついて傷みそうなくらいに空気を抜かなくても載せる事ができるので片付け時間の節約にもなりますし、車内空間も広々使える為です。アイデアはどんどん降ってくるんですが、お金は降ってこないので、まだまだ先になりそうです。
保管場所
私はマンション生活なので、元々置く場所を考慮してインフレータブルボートを選んだ経緯があります。ただ、今では車への収納も上達し、エンジンや道具以外のボート本体はいつも車内にあります。いつでも出航OK状態です。
※ただし生地や圧着部に負担がかからないように無理な押さえつけ等は避けた方がよいと思われます。
出航場所において
HillStoneは本体重量だけで約25㎏になります。正直重いですが、出航前であれば本体のみを完成させた状態(オールや座板なしでエアーフロアはあり)で、十分に担いで運ぶ事ができています(私は身長175㎝体重60㎏です)。
また、使用後は海水を多少含んでいても、エアーフロアを取った状態で担いで運ぶ事ができています。その為、出航場所の選選択肢も広がります。
ただ、私の場合は自作ドーリー(ミニボートのタイヤ)を作成したので、スロープがある場所や砂浜から出航する事が多いです。
ちなみに最終的には、BMOのボートドーリーを購入してしまいました。
更にその後は砂浜からのエントリーを更に楽にする為にバルーンタイヤも手に入れてしまいました。
安定性・走行性・居住性
安定性
インフレータブルボートなので安定性は良いと思います。引き波でも転覆しそうになる程の恐怖は感じた事はないです。
ただ、船の操作によっては危険も高くなりますし、油断しないように細心の注意を払っています。
走行性
ボート底面の形状はフラットなのでスピードはあまり出ないと思います。
私は現在ホンダの2馬力船外機(BF2DH)と合わせて使用していますが、GPSの速度計で時速8〜9㎞程です。これは一人で乗った際の数字ですが、2人乗船だと時速7〜8.5㎞です。波切は悪く、波があると海水を被る事もあるので重心の位置等に配慮が必要です。
私の場合は先端にクーラーboxを取り付けて壁のようにして対策しています。
また、以前は簡易的なエレキモーターを中心に使用していましたが、風が強いと前に進まない事もありました。
今の船外機に変更してからは、進まないなどの事態に遭遇した事はないです。(風速4m以上の予報が出ている時は危険なので出航していません)
居住性
荷物の量や置く場所にもよりますが、私の場合は1人だと余裕を持って釣りができています。
友人と2人で乗船する場合は、クーラーboxを先端のチューブに固定して居住空間を確保すれば、少々手狭ながらも問題なく釣りはできます。
ちなみに、危険なので真似は禁物ですが、相方は疲れるとボートの先端で寝ています。丁度先端のチューブの間に挟まる感じで気持ちよさそうです。
最後に
私にとってミニボートでの釣りは最高の遊びです。
HillStoneを手にするまでも遊漁船や知人の船で釣りは楽しんでいましたが、人数が多いと自分の希望通りの釣りをする事に制限がありました。
しかしながら、ミニボートでは自分の好きな時間に出て、ポイント移動も自由です。準備や後片付けの時間や手間はかかるものの、近場からの出航であれば、遊ぶ時間も十分に確保できますし車の燃料代もあまりかかっていません。
しかも”灯台下暗し”ではないですが、近場でもミニボートで出航すれば竿抜けポイントは多数あるので意外に釣れます。
また、使用頻度や環境等によりますが、私の場合は2馬力エンジンにおいても燃料が3Lあれば朝から昼まで十分に釣りを楽しむ事ができています。
安全に十分な配慮が必要な遊びではありますが、お伝えしきれない程楽しさも満載ですので、ミニボートが初めての方も、これからのシーズン入りに向けて検討されてみてはいかがでしょうか。